教科書 p.35-
粒径分布の測定に用いる試料は、前回の実験でサンプリングした袋試料である。 各班がどの試料を用いるかは、別途指示する。 粒径分布の測定は、2回の実験に分けて行う。 1回目は、
にしたがって実験をすすめる。この中で、ストークス法則実験法と 比重計定数の決定については、教科書通りの手順ですすめる。 ここで、ストークス法則実験の意義は、比重計法の測定原理を 理解するのに不可欠なストークスの法則について、実験的に 確認しておこうということである。
d. 手順については、今回と次回に分けて実験を行うため、 今回の手順について次の節で説明する。 その後で、ストークスの法則実験に関する若干の補足をする。
2試料測定分の準備物
教科書では、試料を空気乾燥(風乾)するように指示しているが、 火山灰土では風乾せずに現場の湿度に保つと良いとされている1)。 また、粘質土においては、10-20g 程度の試料で十分であると されている。本来ならば、含水比の測定結果が出てから、測定試料の 質量を決定するのであるが、含水比の測定には炉乾時間の24時間が かかるため、学生実験においては含水比の測定結果を待たずに、 試料をとる。含水比を最大限見積もって200%としても、50gの試料が あれば十分なため、約50gの湿潤試料を用いることとする。
静止した密度ρwTの液体中を、粒径d、 密度ρsの球状粒子を落下させたときの 粒子の沈降速度Vを計算する2)。
粒子に働く力の釣合は、
浮力B + 抵抗 R - 自重 W = 0
ストークスの法則を用いると
R=3πηdV
B=(π/6)d3ρwTg, W=(π/6)d3ρsg より、
(π/6)d3ρwTg + 3πηdV - (π/6)d3ρsg = 0
(π/6)d3(ρs-ρwT)g = 3πηdV
この式に、教科書p.40の単位系を適用すると、p.22 の式(3.13)が 導かれ、簡単な計算で p.40の式(3.28)が導かれる。 ここで、最大粒径の単位が mm, 沈降時間の単位が分となっている ことから、√内の分子が18ではなく30になっている(レポート課題1)。
比重計法では、伝統的に使われている表3.6(p.41)との互換性を保つために、 p.40のような非SI単位系が使用されている。
ストークスの法則を確認するときには、水の粘性係数が必要と される。理科年表によると、水の粘性係数は以下のように 温度の関数となる。
温度 t (℃) 粘性係数 η(ポアズ) 0 0.01792 5 0.01520 10 0.01307 15 0.01138 20 0.01002 25 0.00890 30 0.00797
温度の測定値から、粘性係数を補間法によって計算すること。 線形補間で十分であるが、より高度な補間法を使ってもよい。
G値を用いれば、粘性係数の値は組み込まれているためにこの表を 用いる必要はなくなるが、G値を用いる場合には、表3.6(p.41)の 値が妥当であることを、粘性係数、比重、水の密度(p.32 表3.5) の値を用いて検証すること。
ストークス法則実験においては、班ごとに異なった粒径の試料を 用い、レポートはすべての班の結果をまとめて提出することになる。 そこで、データは共通のデータシートに記入し、その測定結果を 配布することにする。 以下のデータシートを用いる。
粒径加積曲線が得られるのは、次回の実験が終わってからである。 そこで、今回はストークスの法則に関する実験のみ、レポート課題とする。