水平カラム中の横方向の浸潤において、積算浸潤量が時間の平方根に比例することを確認し、吸水性 (ソープティビティ; sorptivity) を求める。
写真:ソープティビティ測定の様子。円筒土壌カラムに、左から右へ水を浸透させている。浸透した場所の色が変わるために浸潤の様子が観察できる。
均一な初期水分をもつ無限長のカラムに水を供給するときに、 初期体積含水率をθi、水の浸入面における体積含水率をθoとすると、初期条件、境界条件は以下のように書ける。
θ = θi (x ≥ 0, t = 0) θ = θo (x = 0, t > 0) |
(1) |
ここで、t は時間、 x は流れの方向の距離で、水の進入面が x=0 である。ソープティビティ s は、以下の式で定義される[文献1 p.15 式(10.26), 文献2 p.45 (2.62)]。
(2) |
ここで、λ(θ)はボルツマン変換の際にあらわれる合成変数で、λ(θ)=xt-1/2にて定義される。また、I は単位断面積あたりの積算浸潤量である。s は、初期体積含水率 θi の関数である。
3分まで | 10秒ごと |
10分まで | 30秒ごと |
20分まで | 1分ごと |
30分まで | 2分ごと |
90分まで | 5分ごと |
積算浸潤量 I' = 水の浸潤した部位の長さ×(間隙率 n - 初期体積含水率 θi)となる。ここで、間隙率 n については乾燥密度 ρd と土粒子密度 ρs から
n = 1 - ρd/ρsと計算でき、初期体積含水率 θi は、初期含水比 ω と乾燥密度 ρd から
θi = ωρd/ρwと計算できる。ここで、水の密度 ρw = 1 g cm-3として計算する。
I'/I = (n-θi)/(θo-θi)この関係式から、水の浸入面における体積含水率 θo を計算することができる。また、I=I' であれば θo = n となり、侵入面が完全に飽和されていることになる。
ソープティビティ測定では、t=0の時間を正確に取ることが難しい。そこで、この測定に誤差が生じると考える。また、積算浸潤量のゼロ点にも誤差が生じると考える。このとき、式(2)のかわりに以下の式を採用する。
(3) |
この式を書き直すと、以下のように、tはIの2次関数となる。
(4) |
すなわち、I-tの関係を2次関数で回帰したときの係数を式(4)と比較することでs,a,bの値を求めることができる。このようにして得られたsが、より正確なソープティビティの値となるものと考えられる。この値を、√t-I直線の傾きから得られたソープティビティの値と比較してみよう。
Excel ファイルをダウンロードして用いる。このファイルには4枚のワークシートがある。「データ書き込み用」という名前のワークシートを印刷して、当日の測定データ書き込みに用いる。その後、「ソープティビティ計算用」シートに測定値を入力し、上記「計算」に記した2種類のグラフを作成する。「結果」データシートに、得られた結果をまとめる。その際「測定例」データシートにて、過去のデータを参考にすること。
試料 | |
初期水分状態(風乾、自然含水比等) | |
土粒子密度 ρs (g cm-3) | |
充填乾燥密度 ρd (g cm-3) | |
初期含水比 ω | |
間隙率 n | |
初期体積含水率 θi | |
浸入面における体積含水率 θo | |
水温 (℃) | |
ソープティビティ s (cm s-1/2) |