MIZOちゃんの研究内容


2)不凍水と吸着水に関する理論と実験的研究

 mizoは凍土中の不凍水についての考察を深め、仮想的な粘土表面の吸着水の 二次元的な圧力分布を計算し、不凍水の性質を理解するための理論的な根拠を 示した(7)。また、不凍水に関する理論を実証するための実験も行った。例え ば、これまで不凍水分量の測定には熱量計法やNMR(核磁気共鳴)法などが 用いられてきたが、FTIR(フーリエ変換赤外分光)法により不凍水分量測定の 可能性を実証した。すなわち、赤外線は通常水分を嫌うため生体物質や食品、 土壌などを扱う分野での適用は限られていたが、mizoは吸光度の山の部分では なく谷の部分(波数=2700cm-1)に着目することで0℃近辺におけるNaCl溶液 中の氷量を温度の関数として定量化することに成功した(3)。さらにこの手法 を用いて凍結粘土の吸光度の温度依存性を調べ、粘土中の水が粘土粒子と溶質 (NaCl)により凝固点降下を起こしていることを明らかにした(4)。また、この 手法を食品の分野にも応用し、コーンスターチ水溶液のゾル−ゲル転移や凍結 融解の状態変化を観察する(9)と共に、凝固点降下法によって糖水溶液の水分 活量係数を測定し、その水の状態を熱力学的に考察した(8)。これらの知見は 土壌中の粘土粒子・腐植・微生物周辺の微視的な水の挙動のみならず、水のク ラスター構造の観点から生体分子と水の相互作用を理解する上にも役立つと 思われる。


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