三重大学生物資源学研究科

物質循環学特別講義05


物質循環学特別講義(宿題)

Q1. フード・セキュリティ - 誰が世界を養うのか?(レスター・ブラウン著)の中のどこか1章を読んで、考えたことをまとめなさい。
Q2. この授業を受けた感想を簡単に記しなさい。

締切: 8月31日(水) 17:00


回答例:

  1.  From: TK  2005/08/08 (月) 17:44
    Q1:
    *第**8**章 中国が世界の穀物を買い占める日***

    **まず、この本を読もうとした時、題名であるフード・セキュリティーの意味が 理解出来ませんでした。なぜ、食糧安全保障が問題になるのかと正直思いまし た。現代の日本では、食べ物に困っている人は殆どいない。でも、よく考えてみ ると日本の食糧の多くは外国からの輸入によって支えられているのが現状であ る。日本の食糧自給率は約40%で、先進国の中でも特に低い。外国からの食糧輸 出がいつ止まるかは分からない。しかし、今日の国際状況や環境問題を考えてみ るといつ輸入がストップしてもおかしくないように思える。本当に、恐ろしい問 題だと感じた。
     なぜ、近代化すると消費量が増えるのに生産量が増えなくなるのだろうと思っ た。その答えの一つが、ジャパン・シンドローム(工業化以前から人口密度の高 い国に穀物減産をもたらした、相互に作用し合う傾向)にあることがわかった。@ 農地が非農業用途に転用される、A穀物が付加価値の高い青果物に取って代わら れる、B農業労働者が都市へ流出して二毛作・二期作が衰退するという傾向に よって減少し始める。
     日本でこれだけ食糧が問題となるなら、地球最大の国民を抱える中国でも大問 題になることは誰が考えてもわかるはずである。近年の中国の発展は本当に凄ま じい。食糧だけでなく地球上の資源は中国に向かっており、石油、鉄鉱石などの 価格は高騰している。価格の高騰は中国一国の問題ではなく、世界に広がり多数 の国の経済に影響がでている。このような現象は資源だけでなく、近い将来食糧 にも起きる可能性があると考えられる。
     中国は一夜にして世界最大の小麦輸入国になった。だが、将来的にはコメとト ウモロコシなどの輸入量も膨大になることは、言うまでもない。また、中国では 食糧の消費量も増加しているが、生産量も減少している。これは、過放牧による 砂漠化、水不足、商業・住居用地や駐車場・道路による農地転用が進み農地が減 少しているためである。
     フード・セキュリティーのためには、まず近年では最悪といえる、世界の穀物 在庫の減少を回復させる必要があるが、それには、何よりもまず最大の食糧消費 国であろう中国の減産に歯止めかけなければならないと感じました。国家が長期 にわたる減産を回避するように、戦略を立て農業意欲を刺激するような予算配分 にしていかなければならない。日本においても、自国で消費する食糧は自国で生 産するべきである。
     今でも大問題になっているが、将来食糧問題は人類が地球に存在し続けられる かのほどの大問題に発展すると思われる。古代文明は幾つも食糧が得られなく なって滅びてきた。今や食糧問題は、一国の問題では無く地球全体での問題に なっている。地球上での耕地は限られているので、計画的に各国で食糧生産をし ていかなければならない。

    Q2:
    突然、みんなの前でプレゼンをやると聞いてびっくりしました。僕は、人前で話 すのは得意ではありません。しかし、先生の何度もやれば慣れるという話を聞い て考えが変わりました。得意、不得意の問題ではなく、とにかくやってみるとい う考えになりました。

  2.  From: YY  2005/08/09 (火) 10:14
    Q1:
    フードセキュリティー 第三章
    『途上国のホットコール「もっと肉を!」』を読んで

     この章を読んで一番に印象に残った一文は、『皮肉なことに、世界で最も健康的な人々は、年間の穀物消費量が800キログラムという人々でもなく、 200キログラムという人々でもなく、その中間の人々である』であった。この文で、年間穀物消費量が800キログラムというのは勿論、飽食の国として名 高いアメリカで、200キログラムというのは、国民所得が低いのと宗教的な制約のため畜産物の消費が少ないため穀物消費が少ないインドであるが、その両 国の人々に比べ、その中間の年間消費量400キログラムのイタリア人の平均寿命は長いという。また、イタリアの一人当たりの国民医療費はアメリカのそれ を大きく下回っているという。

    なぜイタリア人はそれ程にも健康なのか、その理由は、イタリア人の食事に理由があるという。一般的に『地中海ダイエット』と言われる、南イタリア料理 が、大きくイタリア人の健康に寄与しているらしい。イタリア国内にのみ注目しても、南部の心筋梗塞発症率は、北、中部と比較して低いという。具体的に、 南イタリア料理のどの点が健康に良いのかというと、主に料理に使用されている油はオリーブオイルであって、この脂は他の植物油とは異なり、オレイン酸を 75%含み、これによって悪玉コレステロールと呼ばれているLDLコレステロールを下げ、血管に害を及ぼす過酸化脂質の生成を抑制する働きをしている、 パンやパスタには硬質小麦粉のセモリナが用いられており、これらは炭水化物の吸収を穏やかにする働きがある、肉は主に、不飽和脂肪酸の少ない仔羊、仔牛 を使っている、バランスよく緑黄色野、きのこ類が多くとられているなどの条件のため、南イタリア料理は健康に良いとされており、世界で最も健康によい食 事と考えられている。

     日本食も栄養のバランスの良い食事として有名であるが、日本人の食生活が脂分の多い欧米風化、特に北欧化しているため、コレステロールが原因で発症す る疾患、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞が日本人の間で多発している。しかし、イタリアの特に南部では、伝統的かつ健康的な南イタリア料理が今なお、各家庭 に受け継がれているため、日本の様な食生活の変化による心血管障害の増加は発生していない。よって、日本人の心血管障害を減少させるためにも、食生活の 見直しが急務となる。具体的には、欧米風の食事から伝統的な日本食へ移行させることが重要であると考える。また、健康に良いとされる南イタリア料理やそ の他地域の料理の良い部分を参考にして積極的に取り入れ、常に食というものを見直し改善すべきであると考える。医食同源という言葉があるが、これは病気 を治すのも食事をするのも、生命を養い健康を保つためで、その本質は同じであるということを意味しているが、今のアメリカや日本などの先進国は、逆に食 によって健康を害している状況にある。それはつまり現在、食という事の真意が見失われているのではないか、日常の食というものが余りにも嗜好的に傾いて いるのではないか、この章を読んでそう感じた。

    Q2:
     この講義では、特にプレゼンテーション力が一番鍛えられた。限られた時間内に、自分の伝えたい事を、要点だけまとめて、聴いている人々に判りやすいよ うに話す。この社会を生き抜いて行くのに必須の能力が、短期間ではあったが非常に鍛えられたと思う。他に余りこの様な講義がないため、非常に有益な講義 だと感じた。プレゼンテーション力を鍛える良い機会だった。また来年、この講義が開講されるでしたら、是非同じ形式で授業を行って下さい。

  3.  From: JU  2005/08/16 (火) 10:52
    Q1:
     私はこの本の中で、ジャパンシンドロームという言葉を初めて聞いた。急速な工業化が始まる時点で人口がすでに過密状態にある国では、相次ぐ3つの出来事がら穀物輸入に大きく依存するようになるというのである。それが穀物の70%を輸入に依存している、今の日本の姿であり、同じ流れでいずれ、インド、インドネシア、バングラデシュ、パキスタン、エジプト、メキシコといった国々もあとに続くのではないかと予測されている。その予測が当たれば、地球のどこで農業を行うというのか。平和的に世界経済がまわっているうちは、農業という重労働を海外に依存すればよい。世界の土壌養分が十分肥沃なうちは、農産物の栽培を依存してもよい。でもそんなことは、長期的にみたら不安定なことである。生物学的に考えても、輸出ばかりしている土地では、土壌はやせていく一方であるし、これから食糧難の時代を迎えて、輸出生産物は取り合いにもなるだろうし、国内消費に回されることもあるだろう。高価で買い取るか、国内でも消費されないようなものを握らされるかだろう。今、日本では食料を輸入に依存することの危険性をしみじみ感じている。いま、我々のできることは、ジャパンシンドロームに他国も陥らないように、何とか日本がよい手本を示して、農業の重要性を訴え、どの国も自給率を高める努力をするように働きかけることではないだろうか。日本では国民の中から、有機農業の見直しや、食の安全に力を入れようという声があがってきている。この機会を逃すことなく、日本政府は農業をより重視し、国内の耕地拡大に努め、農業に従事する若者の労働力の確保を再考してもらいたい。江戸時代の身分思想を表す言葉に「士農工商」があるが、この言葉のように農が工や商よりも重視される社会をつくることはできないのだろうか。食糧難を迎えているこの時代、ナショナルセキュリティは農業の確立と食料の確保にあると思う。家庭菜園も含めて、日本人は全員農業に従事すべきといった法律をつくったら、日本も世界も変わると思う。
     「地球の限界」へ突き進んだ「膨張の半世紀」として、世界人口が1950年の25億人が2000年までに60億人になったことが書かれていた。今かかえている地球規模の問題の鍵の1つは人口問題にある。地球号の定員は何人であるかという議論もあるが、野生動物が自然の法則に従って淘汰されるように、人間も自然や人間社会の中で淘汰されている。ウイルスやプリオンなどに人間が侵されることも一つの淘汰であるし、食糧難や戦争もこれにあたるのだろう。野生動物なら自然の前に身を任せるしかないが、人間はあがく。何とか幸せな方向にと。この問題の解決には、科学の進歩よりも、生活の安定や女性の自立や地位向上を実現することにある。このことで少しでも、人口の増加速度が抑えられ、マイナスのブーメラン効果を最小限にし、将来の子供たちに少しでも良い地球環境を残していきたい。
     将来の子供たちに少しでも良い地球環境を残していきたい。そう思えることは地球を救うのにはとても大切な考え方だと思う。私自身、そう思えるようになったのは、やはり自分の子供をもってからであった。日本では少子化がすすんでいるが、このことは、労働力の減少だけが問題なのではなく、『大人たちが自分の次の世代の事まで心配しなくなる』ことも問題なのではないか。

    Q2:
    三重大学での講義ありがとうございました。
    農場でいろいろな計器にふれることができ、 またプレゼンテーションの練習の場ではたくさんのご助言もいただき ました。これからの発表や討論、人間関係の場で役に立てていきたいです。

  4.  From: YU  2005/08/19 (金) 16:04
    Q1:
    「フード・セキュリティー第2章 地球号の定員は70億人か」についての感想文

     今回、フード・セキュリティー10章ある中で、どの章を読もうかと考えたとき「地球号の定員は70億人か」という目次に惹かれ、第2章に決めました。それは、世界の穀物生産は低下している一方で人口は増加しており食糧問題が発生しているのは知っていました。しかし、自分の中であまりに漠然としており、どのような場所でどのような背景・理由により人口増加が起こっているのか知りたいと考えたからです。
     実際に読み進めると、世界の人口は増加しているが、意外なことにその増加率は1970年の2%というピークから2004年の1.2%と低下していることを知りました。一見すると望ましい現象であるようだが、その低下原因のひとつがエイズによる多数の死亡によるものであり、エイズの深刻さが浮き彫りになっているのも事実である。また、21紀前半に増加するであろう世界の人口は30億人と推測されており、20紀後半に増加した35億人より少ない。しかし、20世紀の人口増加は先進国および途上国の両方で起こったのに対し、今後予想される人口増加は主に途上国で起こると考えられる。今現在でさえ水不足や飢餓が重大な問題である途上国でさらに人口が増えれば非常に厳しい状況になるのは容易に想像がつく。このように一見すると喜ばしいような数値でもその背景をみると深刻な問題が隠れていることを知りました。
     世界の穀物作付面積は、1950年の5億9000万ha、1981年の7億3000万ha、2004年の6億7000万haと推移している。人口は増加しているのに対して穀物の作付面積は縮小しており、今後さらに縮小すると考えられている。こうなると途上国において食糧や水はさらに貴重なものとなり、それをめぐり紛争が頻繁に起こる。その解決策のひとつとして人口を減少させることが考えられるが、途上国における乳幼児の死亡率は高く、それを補うために出生率が高くなり、結果として人口は増加している。この悪循環を解決するために先進国と途上国が協力し、一部の人間だけでなく国民全体に人口増加の重大性を伝える必要があると感じました。一方で人口増加を抑えることに成功した国々もある。その例がタイ王国とイランである。タイ王国ではメチャイという人物が人口増加の重大性を国民に伝えるためにコンドームを小学校やタクシーで配った。この一見、奇抜と思える行動が国民の理解を得て人口増加の抑制に大きく貢献している。イランでは少子化の重要性を伝えるために避妊具を無料で配布したり、結婚するカップルに家族計画と避妊について講習を行っている。イランはイスラム原理主義の厳格な戒律下にありながらこのような行動を迅速に行い少子化に成功している。このように、人口の増加を抑えるためには多少の危険を冒してでも行動を起こさなければならないと感じました。

    Q2:
     溝口先生の講義は始めからプレゼンテーションがあり、面食らいましたが講義を受けるうちにプレゼンテーションの大切さと楽しさを感じることができました。ありがとうございました。また、三重大で講義をお願いします!

  5.  From: AJ  2005/08/26 (金) 2:46
    Q1:
     人間の文明は、大河川の流域で灌漑農業を営むことによって始まったと言われているように、古代から食糧の自給自足は私たちが生活をするための基盤である。今日、世界の大河川で断流が深刻化しているのにもかかわらず、多くの人々の関心は石油枯渇問題に集中し、地下水資源の枯渇は軽視されている状態だ。(現に私も以前受講した講義を受けるまで石油問題を重要視していた。)しかし、本書でも指摘があったように、石油の替わりはあっても水の替わりはない。今現在、石油の代替エネルギーとして様々なものが開発され使用されつつある。
     地球上に存在する水は、海水が97.5%を占め、0.01%が私たちが利用できる淡水として存在する。この0.01%のうちの70%が食糧生産のため灌漑用水としているという事実は、いかに水不足が私たちにとって深刻な問題であるかわかるだろう。日本では、灌漑用水や工業用水において水不足を感じることはまだそこまでないように思われるが、日本が他国に多大な水不足を引き起こしていることはあまり世間に知られていない。日本は自給率の低さを輸入という形で補っているが、これは言い換えると輸入した食糧や木材、工業製品などはすべて他国の水資源を大量に消費していることになる。日本のために水資源低下だけではなく、他の資源の枯渇・環境悪化に陥った国がどれだけあるだろうか。日本はこれ以上他国に被害を与えないため、また自国の自給率増加のために水資源に関して意識を向けるべきだと思う。
     この解決方法として、私は遺伝子組み換え植物の導入を勧めたい。日本の自給率を上げ、輸入を減らすことによって他国の貴重な水資源を節約することが出来ないだろうか。乾燥に強い植物や、今まで以上に栄養価の高い飼料を作り飼料の生産量を抑えることで水資源の節約を行い、また土地の保水力を保つ植物によって水資源の貯蓄に活用する、など利用範囲がかなり広く応用しやすい技術の一つだと私は考えている。しかし、食糧の遺伝子組み換え導入となると、消費者にとっては食の安全性が第一で自給率については二の次になってしまう。いま私たちが口にしている食べ物は、私たちが自然交配によって突然変異を起こさせた農作物からできているものがほとんどで、遺伝子組み換えはその突然変異を短時間で行うことができるという点以外は、自然交配となんの代わりもないように思える。(私は、自然界に存在しない物質を使った合成化学調味料などのほうがよっぽど恐ろしい!)
     今回水問題について遺伝子組み換えを解決方法の一つに挙げたが、実際組み換え植物を日本が許可すると、外国の組み換え植物を使用した全ての物の輸入を許可しなければならなくなる。こういった問題も含め、私たちは幅広く水資源について考え、できるだけ早急に対策をとらなければいけないと感じた。

    Q2:
     今回の講義はいままでの発表会と違い、とても緊張感のあるものでした。 発表をし質問を返す立場は大変でしたが、それ以上に質問をする立場になったときの 方が難しかったです。
     この講義以降、発表時間を気にすることで内容を絞ることが以前より出来るように なった気がします。これから、発表する機会が増えていくと思うので、そのときはこ の講義を思い出してやっていこうと思います。

  6.  From: YA  2005/08/26 (金) 18:23
    Q1:
     食料が石油に次ぐ重要な戦略物資であり、今後より重要になっていくであろう事は今までに結構言われてきたことであり想像に易いが、具体的な数字やその要因などの関わりを明確に考察、説明している点でこの本を読むことは有意義でした。 そういった点から一通り目を通して興味引いた章は第8章の「中国が世界の穀物を買い占める日」でした。
     中国は広い国土と世界一の人口を持つ巨大国家であり、ここ十数年での近代化、成長は目をみはるものがある。しかし、この本でよく出てくるジャパンシンドロームという言葉の通り近代、都市化は、肥沃な農地を都市化し農村部の労働力を削ぎ落としてしまう。つまり、都市部経済活動による利益率が一次産業の利益率を上回れば、水が高きから低きに流れる如くあらゆる社会構造のシフトが起こる。加えて砂漠化問題と人口問題がある。やがて経済力をつけ食料輸入に依存するようになれば、頭打ちとりつつある世界穀物生産高というパイを、日本を含め世界中で奪い合う事態になりかねない。というのがこの章の要点だ。想像するならオイルショックの時の食料版、ともいえる事態が起こるのではないか。
     日本で食料が供給不足する事態はほかにも考えられる。狂牛病で牛肉の値段が高騰したように、病気や突発的なテロや戦争といった事が起これば、カロリー換算で4割程度の自給率しかない日本は食料を外交カードとしてちらつかされ、莫大な不利益を被るかもしれない。そういった側面がまさに安全保障という言葉を痛切に感じた。
     この章での括りに、中国版食の安全保障対策について述べた個所があった。中国は現政権が文化大革命による国内3000万人の餓死者を経験しているため、食料に対する危機意識が非常に高く、技術開発や様々な対策を同時、重点的に予算配分している…である。実際に効率的なタンパク質の創出のため、高度な魚の養殖技術を完成させている。
     こういった点が日本のスタンスと異なる。日本は土地柄穀物の大量生産には向かないし、人件費が高すぎるため国内生産の作物は競争力が弱いという点が最も首をしめている。保護しようにも、貿易経済との天秤にかけねばならない(概して経済優先の気質がある)。すでに食料安全保障という点においては、対策を施す前に負けに等しい状況にあるのではないかとも言える。輸入した食べ物の2割を廃棄しているという飽食時代の日本人が、地理気候的な不利さと、安全保障に対する食料の危機を認識するのは難しいのではないかと。
     日本は戦後食料生産で危機的状況に陥り、比較的短時間で食糧不足を解消してしまった経緯があるから、今でも食料自給率を押し上げるのは不可能なことではないと考えられる。このまま、緩やかに世界の穀物価格がつり上がってゆけば、日本で食料生産するメリットが生まれ、神の見えざる手では無いが自然に、今のいびつな輸入関係が調和していく可能性もある。しかしアクシデント的な、つまり1〜2年間といったタームで自給率100%にするには無理があるし、それに対応できる備蓄食料もない。ということは食糧問題が潜在的な弱点となったまま放置していると言える。 いまは食料輸入のバランスがとれ飽食の恩恵を享受しているが、潜在的なリスクの上に成り立っていることを認識する(させる)事が最重要であると強く思った。

    Q2:
     誰を相手に、何を説明し、何を最も理解してもらうか?ということを考えさせられた。研究というのは理解されて初めて評価に繋がる、そのためには何をするべきか?様々な根幹的な問題の原点みたいなものを考える機会を与えていただいき非常に感謝しています。
     最初は意外とキツイ先生かと心配したのですが、些細な事でも相手のいい所を見つけて評価されていた所がとても印象的でした。せっかく何時間も使ったのだから今後に少しでも生かせる様努力していきたいです。

  7.  From: NH  2005/08/28 (日) 15:04
    Q1:
     人類は400万年前からほとんどすべての期間を狩猟採集民として生きてきたと言われている。そして、農耕が始まったのはつい1万数千年前のことであると本書では述べている。 狩猟で得る食糧と採集で得る食糧との割合は地理的な位置や技術、季節により異なっており、北半球の冬は採集するものがほとんどなく、人類の生存は狩猟に負うところが大きかった。そして狩猟採集民としての長い歴史の名残である動物性たんぱく質への欲求が、現在の食生活にも大きな影響を与えているという。このことは、国民所得が増えた国はどこでも肉や、卵、魚への欲求が動物性たんぱく質の消費量が大きく伸びてきていることからもうかがえる。
     しかし、動物性たんぱく質の増産は時として、自然システムの大きな脅威となる。つまり、畜産の飼料として大量の穀物や大豆が必要となるからである。そこで、国民所得が低い国では、必要最低限の食物エネルギーを摂取するのにほとんどすべての穀物を直接的なかたちで消費している。インドとアメリカの1人当たりの穀物使用量を比べてみると、インドでは1人当たりの年間穀物消費量が200キログラムを大きく下回っており、一方アメリカでは1人あたり年間800キログラムの穀物を消費している。アメリカではその5分の4以上は畜産物や養殖魚という間接的な消費である。
     私たち日本人の日常の食卓にのぼる大豆も間接的に消費されている食品の1つである。世界で急増する大豆生産量の大部分は私たちが口にする牛肉や豚肉、鳥肉、牛乳、卵、養殖魚のかたちで間接的に消費されている。大豆ミールの飼料への配合は世界の飼料産業に変化をもたらし、穀物を動物性たんぱく質に変える際の効率を、大幅に向上させたのである。 中国、アメリカ、ブラジルの三大食肉生産国はともに、飼料に混ぜるたんぱく質補助材として、この大豆ミールに大きく依存している。なかでもアメリカは飼料の質を高めるために以前から大豆ミールを利用してきた。1964年の時点ですでに、飼料には8%の大豆ミールが含まれていたが、ここ10年間の配合割合は17〜19%で推移している。 アメリカでの作付面積は、1978年までに小麦を上回り、ここ数年はトウモロコシも抜いて、大豆は同国で最も広く栽培される作物となった。
     これは、世界でも言えることであり、1950年から2004年にかけて、世界の穀物生産量は3倍に増加し、大豆の生産量も13倍にも膨れ上がったのである。このたんぱく質の増加分は、さまざまな畜産物の生産に間接的に消費されてしまうが、このことは全ての人々が「もっと肉を」「もっと魚を」と願っていることをあらわしているのではないだろうか。実際、食肉全体の需要は人口増加率の2倍、卵は3倍ほどの速さで拡大している。今後、かつてない量の動物性たんぱく質をこれまで以上に効率よく生産することことが試されようとしている。しかし、やはりそれは自然システムの大きな脅威となるのではないだろうか。

    Q2:


  8.  From: MN  2005/08/29 (月) 13:33
    Q1:
     「フードセキュリティー―誰が世界を救うのか:第六章」を読んだ感想。
     私が、この本で興味を持った章は、水不足のことを書いている第六章でした。この章では、深刻になった水不足の問題を取り上げており、世界各国で、灌漑農業による水の使用量の増加により、地下水位の低下という問題を取り上げています。日本はというと、今ダムの貯水率が0%近い四国では、水不足に悩んでおり、これは、単に降雨量がすくないというだけではなく、農業用水の増加に伴って、川は川といえるかどうか分からないくらい水の量は減っています。
     水というのは、生きるためになくてはならないものですが、現在生きていくのに十分すぎる量の水を私たちは、消費しています。地下水の低下が問題になっている国は、穀物の大量生産国でありましたが、この地下水位の低下によって、生産量が減り始めています。水不足というのは、温暖化問題といった問題より、身近に、そして差し迫った問題といえます。過剰な農作物の生産により、水は不足し、少ない水は、今度は都市と農業の水争いと発展してしまいます。しかし、大半は経済を優先させるため、都市サイドの要求が優先されてしまいます。しかし、これでは食糧不足につながってしまう恐れがあります。
     このような、食糧不足につながる水不足を回避するには、水の生産性を高める世界的な取り組みが必要だが、それ以前に、人の水に対する意識を改める必要があると考えます。水は、有限のものであると認識し、普段の生活でも節水を心がけることにより、水の使用量は減らせると思います。そして、農作物を可能な限り水利用効率のよいものにシフトすることによって、水の生産性を高めることによって、節水効果はえられると思います。
     過剰揚水が世界中の国で見られ、地下水位の低下が始まっていることで、早急な地下水位の安定が必要となっています。現在までに、この水不足問題は、食糧不足という問題までに発展していませんが、このままにしておけば、いずれそのような事態が訪れてしまうと思われます。この本を読んで、必要以上に水は使用され、そして枯渇してしまうかもしれないという危機に瀕していることを知りました。水に対する考え方を改めるいいキッカケになりそうです。

    Q2:

     今回、ほとんどの時間が発表の時間で、最初はかなりビビッて緊張しながら発表をしていましたが、回を重ねていくごとに、慣れという感じで、緊張のほうは、薄れていきました。先生がおっしゃったように、人前で話すのは、練習すればうまくなるということを実感できて、とてもよかったです。
     今回の、指導していいただいた発表のコツを忘れずに、学会発表や、就職活動のほうに生かしたいと思います。ありがとうございました!

  9.  From: XL  2005/08/31 (水) 2:21
    Q1:
     中国を養うのは中国
     
     レスター・ブラウン氏が巨大な数字を羅列して読者を圧倒するという方法で、中国農業のマイナス面だけを強調し、結果として「中国が人口増加をもっと積極的に抑制しなければ、その影響は世界中に及ぶだろう」と、中国にさらなる注文をつげている。しかし、中国はすでに3億人に近い人口抑制をやっているがあまり知られていない。
     中国の食糧需給の将来を展望する場合に中国の人口増加により、膨大な食糧不足が発生するのではないかの見方が単純すぎると思われる。確かに中国人の食生活や年間の人口増加率を見れば将来の食糧危機を予測することも可能に見えるが、中国の食糧消費は地域、都会と農村によって格差が生じていて、少し複雑になっているため、全国を同じ水準にするのは間違いだろう。 レスター・ブラウン氏は、中国の人口の大きさだけを問題にして、大変だと叫んでいるが、中国が世界の7%足らずの農地で世界人口の22%を養っていることは知らないだろう。これを世界の食糧問題から見れば、中国は世界の2割強の人口を自給農産物で養うことで世界の食糧問題の軽減に貢献していると言える。
     中国は人口抑制と環境保護を二つの基本国策として努力している、さらに農業投入を大いに増やすことによって、食糧の単収を高め、同時に生物技術の開発を強化し、遅れた農業の発展を速めようとしている。
     中国を養うのは中国。

    Q2:


  10.  From:   2
    Q1:
     

    Q2:


ホームページへ戻る( 環境地水学研究室, 生物・環境工学専攻, 農学生命科学研究科, 東京大学

mizo@soil.en.a.u-tokyo.ac.jp
Update by mizo (2005.8.21)