食料と環境を考えた次世代地域計画05



Q1. ある特定の地域を限定し、食料生産と環境保全を両立させるためにどのような点に注意すべきか、考えられること書きなさい。
Q2. 生産現場から食卓まで安全な食料が届くようにするためには、そのような点に注意すべきか。具体的な食べ物を一例としてとりあげ、説明しなさい。

締切: 5月31日(火) 20:00


回答例:

  1.  From: I君  Sent: Monday, May 23, 2005 5:32 PM
    Q1
    *地域を寒冷地に設定する。
    寒冷地といっても多種多様な地域が存在する。例えばシベリアやアラスカなど、一部イヌイットなどが生活しているが、おもに狩猟に頼っており農業には適さないと思われる。そのような極寒地において食料生産という農業は可能なのだろうか。ビニールハウスなどある程度人工施設に頼らなければならないのだろうか。極寒地において問題となるのは低温による分解の遅さにある。下手に生ゴミでも埋めようとするとずっと原型をとどめた人参などが残る。寒冷地において農業を行えるようにするコストが寒ければ寒いほど高くなりそれは結局環境保全との両立の難しさであるのではなかろうか、例えば燃料の面からも寒冷地は多く使う傾向にあり(カナダなど)、基本的に環境保全は他の地域よりも困難に思われる。この点を考慮し、できるだけ環境への負荷を抑える方法を模索しなければならない。そこで考えられるのは地域性に根ざした食料生産である。この目的は上で挙げたコストを少なくすることにある。コストを抑えれば、それだけ環境への負荷を抑えられることに直結する。したがって植生がないほどの極寒地には住まないことにする。そこでライ麦などが育つある特定の地域に限定して考えることにする。おそらくチェルノーゼムなどではなく、痩せた土地だと思われ、広い土地が必要になると思われる。つまり土地に見合う人数というものを綿密に設定しなければならない。ロシアなどは広いようで実は住める土地はごくわずかと思われるので、土地計画が重要である。また機械による効率化、品種改良などがその手助けになるのではないか。また注目したいのはゴミについてである。埋めるのではない方法が必要である。やはりゴミを極力出さないことが一番重要と思われる。そのような生活スタイルというものは我々のそれとは限りなく違うと思われ、転換は難しい。また燃やす、または他に移すをも組み合わせながら、微生物による分解が必要なのではなかろうか。もちろんそのスパンは長期的になると思われ、長い目でみた計画は不可欠である。以上書いたことは問題の解決方法の提唱というよりも、問題の投げかけで終わったように思われるが、寒冷地において、食料生産と環境保全とが両立できるシステムが確立されたら、半ばいま問題となっている環境問題は解決されるのではなかろうか。他の地域よりも寒冷地はその両立は困難だからである。他の地域に還元されていくのだと思うとこの問題が一層重要に思われる。

    Q2
    *“具体的な食べ物”をバナナにする。
    バナナは栄養価も高く、毎朝食べたい食品の一つであるが、もちろん日本産のものは少ない、むしろ無い気もするが。日本で販売されているバナナは主にフィリピン産である。世界生産ではエクアドルが一番であるが、日本という視点からに限定して考える。だいたいの外国産食品がそうであるが、熟す前に日本へ船で大量に輸送するという方式がとられている。まあ最近は品質向上のため、ぎりぎりまで熟れた食品を航空機で輸送するという方式もあるかもしれない。日本に着いた青いバナナは、倉庫に保管され出荷まえにエチレンガスによって黄色くなって店頭に並ぶ。この瞬間が一番栄養が少なく、せめてシュガースポットと呼ばれる黒い点々が出てきてから食べた方がよいと最近では世間に認知されている。ここまでがバナナが食卓にならぶ(?)までの一連に動きであるが、安全面について考える。一般に日本人は見た目にうるさく、店頭には傷一つない、黄色一色のバナナがならぶ。これは、農薬や消毒薬などのおかげであり、現地民にとっては“不自然なバナナ”らしい。農薬によって虫などの感染防止、バナナの病気予防など安全面に一役買っている面もあるが、外見という目的のための農薬は健康を害するおそれがある。そのため最近近くのスーパーでは料金が高めで外見はさほどよろしくないバナナが無農薬を掲げている。思うにバナナの安全面といえば、農薬以外に挙げるものが無く(他の食品もだいたいはそうだとは思われるが)、今日の健康ブームも手伝って増えた無農薬バナナを買えばいいのであり、問題はそれで解決されるのである。それよりも低賃金の過酷な労働を強いられるフィリピン人などの問題に着目したい気もする。狂牛病の報道などをみて思うのは、果たして食品は安全を前提とされうるのだろうか、ということである。牛にとって狂牛病になるということは人間が病気に罹ると同じように不可避なものなら、ある程度のリスクを前提としなければならないということなのだろうか。狂牛病がうつる確率は低く、そのことからも0にすることは不可能に思われてくる。日本よりも格段に狂牛病に感染した牛の多いイギリスなどの人々に牛肉の安全についての考えを聞いてみたいとは思う。余談ではあるが、バナナはフィリピンだけで二百種類以上あり、赤、緑、種のあるものなど多種多様である。アフリカでは熟してない固いバナナをナイフで切り開いて茹でるそうだ。一度食べてみたいものである。

  2.  From: S君  Sent: 2005/05/25 (水) 19:23
    Q1
    寒冷地で大きなトラクターを使うと収穫後の降雨で土壌が流出しやすい。これはトラクターの刃が届く部分の土は柔らかく、それより下の土は踏み固められて固 くなるためである。また、雪が降ると表面が凍土層となるため、雪解けの時期にも土壌 流出がおこりやすい。前者の問題を解決するには、地面を強く踏み固めない小型のトラクターの使用、トラクターの使用後に2層に分かれた土の堅さを均一にする作業を行うなどの対策が必要である。また後者については、雪解け前に炭の粉を撒くなどして、融 雪を部分的に促進し、凍土層を抜くことが必要である。
    Q2
    2.ハンバーガーの中のキュウリのピクルスについて考える。キュウリは日本国内で栽培され、市場に運ばれ、それを加工会社がピクルスにして、さらにそれをハンバーガー会社が買い、店舗に運ばれ、ハンバーガーの中に入るものとする。このキュウリの安全が失われる可能性としては、
      ・農家が農薬を使う
      ・輸送途中に腐る
      ・加工会社が添加物をくわえる。
      ・店舗で清潔に扱われなかった
     などが考えられる。このような危険を回避するためには、農家がピクルスを作って(もちろん無農薬、無添加で)店舗に運ぶところまでやってしまえばいいと思う。そうすれば農家が気をつけるだけで・、・は回避できるし、仲介する人が少ないから・も回避できる。あとは、・だがこれはハンバーガー会社が気をつけるしかない。実際にファーストフード店でアルバイトしてみて思うことだが、人手が少ないせいか、なま肉をさわった後に生野菜を扱うというようなことがちょくちょくあり、衛生的でない。外食産業はもっと衛生的な店舗を心がけるべきだ。

  3.  From: A君  Sent: 2005/05/30 (月) 16:22
    Q1
    寒冷地においては、春に融雪水が溢れ出すので土壌浸食が起きないよう、調節し水を灌漑用水として利用している。
    Q2
    バナナ。バナナは南米や東南アジアから輸入されるが、その間に熟しすぎてしまうことがないように、青いうちに収穫したものが輸入される。

  4.  From: K君  Sent: 2005/05/30 (月) 23:17
    Q1
    a,寒冷地だと微生物の働きが遅く、森林のサイクルが遅いため、一回森林を伐採してしまうと、なかなか元に戻らない。ような気がするので、農地用に土地を切り開くときは十分に生態系や森  林の回復方法について注意する。
    b、寒冷地だと雨量がそれほどない、気がするので保水機能のある森林を保護し、かつため池なども活用して農業用水の確保を行う。ただし農業ばかりに水を使ってはくみ上げ過ぎや水質汚濁の問題がおきかねないので、水を大量に使う作物は避ける。
    Q2
    2、分からなかったので調べてみました。
       トレーサビリティーとゆうのがあって、なんでも食料の生産現場から食卓にいたるまでの経路、経過を事細かに記録していこうということらしい。具体的には、だれがどこでどのように生産したかという生産情報、誰がどのような加工をしたかという加工情報、どの会社がどのような経路で運んだかという流通情報、さらに何の食品をいつ仕入れて販売したかという小売情報などをチェックするらしい。このシステムはもう牛肉には適用されているらしい。ただこのシステムの一番の問題点はコストか高くなるということで、これは生産者、小売業者、消費者が安全性のために理解しあって負担していくしかないようだ。

  5.  From: H君  Sent: 2005/05/31 (火) 0:27
    Q1
    T 寒冷地における食料生産と環境保全の両立のために注意すべきこと
    まず寒冷地の特徴をのべる。
    @ 標高がたかい
    A 傾斜がきつい
    B 冬は寒さが厳しく、夏は冷涼
    C 景観や温泉などの観光資源にめぐまれていることが多い
    D 降雪地帯が多い
     具体的には長野県や北海道があてはまる。
    これらの地域では冷涼な気候に適した高原作物、例えばキャベツやじゃがいもなどを生産している。
     では、上記のような特徴によってどのような食料生産上の困難が生じているのだろうか。
     自然条件の観点から言うと、異常気象による冷害や日照不足の影響なども考えられる。しかし最も深刻で恒常的な問題として、土壌流出があげられる。
     なぜ寒冷地において土壌流出が顕著なのだろうか。

     一つめの原因について説明する。傾斜のきつい耕地において耕盤の形成のために大型トラクターを使用することにより、耕すことができる深さ20から30cmより下層部の土が大型トラクターの重みによって踏み固められる。よって収穫直後に、傾斜にそって急激に流れる雨水と共に上部のトラクターによって耕された柔らかい土壌が流出してしまうのである。
     また冬の寒さも土壌流出の大きな原因である。冬の寒さによって凍結した土壌が、春先に上層部のみ土壌が融解すると、下層部の凍結層に上層部の雪解け水や融解したために生じた水分が浸透できずに、上層部の融解した土壌と共に流出するのである。
     土壌が流出しても、化学肥料や農薬を多様すればいいという考えも可能かもしれない。しかしこれらを多様することは人体に悪影響を及ぼすし、土壌の質を悪くし、よりいっそう土壌流出がすすみ、悪循環になってしまう。
     そこでこの土壌流出への対策・注意すべきことを以下に述べたい。
    一つめは、単純に、下層部の固い層を人力や機械でくだくことである。しかし、実行に際してはわざわざ農作業をふやしてまで効果が得られるのかを考え、住民の意思決定が大切である。
     二つ目は雪の上に炭粉をまき、太陽熱の吸収を促進することで、早く雪を溶かしより早く土壌を乾燥させることである。
     三つめは大型トラクターに頼りすぎないようにすることである。しかしそのためには労働力の増加は必須である。しかしただでさえ寒冷地の農業地帯では過疎化や高齢化がすすみ労働力が不足している。そこで寒冷地の特徴である観光資源の豊富さを生かした対策を提案する。
     それは都会から訪れる観光客にただ働きさせることである。言い方をかえると農作業の無料体験である。しかし体験といっても一回きりではない。土壌をつくることから収穫まで、ある一定の土地を観光客に任せるのである。もちろん観光客が訪れることができるのは休日のみであるし、休日すべてを農作業に費やすこともできない。よって観光客が訪れない大部分の間は地元の農業従事者が耕作するのである。しかし「自分の土地」というのが決まっていると、都会の喧噪から逃れ、休日には「自分の土地」に行って農作業をしようと思う人は近年では少なくないはずだ。また、このような体験を通して、農業に興味をもつ人が増えれば、ゆくゆくは農村の活性化・恒常的な労働力の増加にもつながるはずである。
     
     乾燥地域が農業で苦労することは私たち一般の人々にも容易に想像がつくが、長野や北海道などの寒冷地にもこのような問題があるということを一般の人々は意識しないことが多い。私たち消費者が少し高値でも無農薬の野菜を購入するということも大事ではないかと思う。
    Q2
    U生産現場から食卓まで安全な食料が届くために注意すべき点

     このテーマを聞いてまず思いだしたことは、何ヶ月もたった卵が市場にでまわったという話だ。そこで具体的な食べ物の一例として卵をとりあげる。

     まず生産において注意するべき点はニワトリに有害なものを与えない、飼育する環境をできるだけ自然のものにするということである。有害なものとは具体的には農薬や化学肥料を大量に用いた、どこでどのように生産されたかが不明瞭である飼料用作物のことである。環境面については、狭い空間にあまりに多くのニワトリを飼育しないようにし、病気の蔓延などを防ぐということである。この点に注意すると、必然的に生産コストは上昇してしまうし、消費者の目には見えない部分であるために、軽視しても消費活動にはひびかないだろう。しかし、消費者が安全な食料を手にするための重要な前提条件である。
     卵にかぎらず、食料品の生産・輸送において最重要なのは鮮度の維持である。卵が割れないように生産現場から市場への輸送手段を整備することも考えられるが、割れた卵は明らかに消費者にわかるため出荷することはできない。消費者の安全を守るために最も大切なことは情報開示である。卵はキャベツなどの野菜と違い、見た目では古さを判断することが難しい。よって販売者側の過失や悪意によっては何ヶ月もたった卵が市場にでまわるということもありえてくるわけである。どこでいつどのように生産されどのように市場まで運ばれてきたかをもっと公開し、消費者もそのことに敏感になることが大切である。

     <参考資料>
    http://www.pref.kyoto.jp/chikken/issue/news/pdf/tayori02_01.pdf
    http://www.bio-live.com/topic/bse3-1.html

  6.  From: S君  Sent: 2005/05/31 (火) 13:48
    Q1
     日本の寒冷地での農業で問題となるのは雪である。日本の降雪量は世界有数であり、雪対策が日本の寒冷地での農業の大きな課題である。雪は積雪や大量の雪解け水による土壌流失など農業にマイナスなものであると同時に農業にとって最も重要な資源である水の豊かな供給源となりうる。
     寒冷地でよくみられる傾斜地での農業で特におこりやすい土壌流失は農業的な損害であると同時に環境的な損失でもある。流失した土壌を別の場所から運ぶ必要があるし、大規模に土地が崩れれば森林を破壊することにもなるからである。これを防ぐためには冬の終わりの早い時期から少しずつ雪を溶かすことが必 要だと思われる。
     また、寒冷地では傾斜畑が多いということは同時に水を得にくいということを意味する。したがって、その地でうまく農業するためには雪解け水を使うことが必要条件である。
     つまりまとめると、雪をどれだけうまく使える水として利用するかが大事なのである。そしてそのためには、雪を少しずつ溶かし、保全することが必要なのだと思う。
    Q2
    ・レタスを例に考えてみる
    (1)生産
     現在よくいわれるように農薬を大量に使った野菜は安全とはいえない。しかし、とくにレタスのような生で食卓に並ぶようなものは見た目のきれいさも大事になってくる。レタスのような葉っぱものは虫がつきやすく完全な無農薬は非常に難しい。農薬の量をなるべく抑える生産が大事だと思う。
    (2)出荷、輸送
     この過程で一番大事なのは早さだと思う。畑でとれたレタスをなるべく早く店まで届けることが安全性を増し、おいしさもよくなる。また、異物が混入しないようにするのも大事である。
    (3)販売
     保存しておくための装置が必要である。時間が経ってしまった場合は加工品にまわしたり破棄するなどが考えられる。
    (4)調理
     レタスをサラダとして食べる場合は生肉などの食品と触れないようにする。

  7.  From: T君  Sent: 2005/05/31 (火) 14:18
    Q1
    (地域を乾燥地域に限定すると)
    例えば、サヘルのような極端な乾燥地域だと、過剰な農耕や放牧はすぐに土壌の劣化と直結してしまい、環境保全どころか今後の食料生産すら不可能な事態になることが多い。それでもそういった食料生産にふみきっているのは、発展途上国の急激な人口増加が原因にある。そして、発展途上国がいまなお貧困と飢えに苦しむのは、先進国に輸出するための、値段が安い上に不安定な農作物の生産などに多くの国土を利用しているためだと思われる。そのため、もしこれらの地域で食料生産と環境保全を実現させたいのならば、問題の根底にある社会的要因までもさかのぼって、そのような要因を解消させることが大切になってくると思う。それだけでなく、実際にはどの程度の農耕/放牧が過剰で危険なのかをよく研究し、土壌を持続可能な範囲で最大限活用する計画をたてることが必要だろう。また、計画をたてる際、その地域に住む住民が従来となるべく同じ方法で生活できるよう考慮することを忘れてはならない。 Q2

    例えば牛乳は、健康な乳牛から集められた乳を低温に保存し、その成分の検査や清浄、殺菌などと段階的な安全対策をへて、商品として食卓に運ばれる。その貯蔵や輸送の際も、菌の繁殖を防いで安全にするため、低温に保つことが必要となっている。
    このように、それぞれの食品の安全を保つために必要な事項を、公的機関が明確にし、義務づけることで、食品の安全が実現されると思う。そして、その基準が的確かどうか、科学者など多くの研究者達によって常に検討されなければならないだろう。

  8.  From: I君  Sent: Monday, May 23, 2005 5:32 PM
    Q1
    農薬について。土地生産性を上げるために使われる農薬や、化学肥料の使用を控える。
    Q2
    米。
    農薬を3年間使っていない田で、有機栽培の米を作る。
    害虫は鴨を使って取り除く。その後、輸送機関や小売店、家庭でも虫がつかないようにする薬などを使用しない。


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Update by mizo (2005.5.23)