土壌圏の科学03



土壌物理学と地球温暖化 (2003.10.28)  受講者 113名
土壌保全と熱・物質移動 (2003.11.4)  受講者 109名

講義の感想(その2):

  1. 明日こそは書こう!の積み重ねでとうとう今日まで来てしまいました。ここま できたらクリスマスにやろうかとも思ったのですが、確実に忘れそうなので今 のうちに書いておこうと思います。 講義の中で一番頭に残ったのは、申し訳ないですがミゾラムの話です。けれど ホームページにいってみたものの、さっぱりわかりませんでした。シベリア は、山の写真がとてもきれいでした。あんな極寒の地に蚊が大量に居たり、土 壌中に虫が居たり、その虫が融解を手伝っていたり・・・地球ってすごいな あ、と思いました。 嬬恋村の話は、聞いていて、自分の故郷の土地が心配になってきました。確か に平地だし、温暖化の影響か昔は朝になると凍っていた池や水溜りの水も最近 では凍らなくなったので、浸食の心配はいらないと思うのですが、問題は地下 水です。地盤沈下とか。(すみません、授業の内容にあっていませんね。)実 家は兼業農家なのですが、農業用水はもっぱら地下水です。おそらく町のほと んどの農家が地下水を使っていることと思われます。そこで、父に聞いてみた ところ、帰ってきた答えは「でっかい川もあるし海も近いから問題ないだろ う」というものでした。水というともう一つ。農業用水路に生活廃水たれ流し なんですよ。家のそばの溝にもよく洗剤の泡が流れています。水量が少ないと きには、白く濁った水の中でドジョウや、ときにはザリガニさえも死んでいま す。そんな水で育った米はあんまり食べたくないですよね。と、ほんとに授業 からかけ離れてしまいました。すみません。適度な笑いもあり、とても楽しい 授業でした。ありがとうございました。
    Mon, 22 Dec 2003 05:05:5

     A.授業を通して身近な環境問題を考察してくれたのは、 講義をした私にとって非常に嬉しい。なぜならば、 環境問題は意識して、実践してこそ意味があるから です。これからも身のまわりの環境をしっかり観察 し、解決する方策を常に考えることを忘れずに。

  2. 楽しく、聞きやすい授業でした。特にフィールドワークの雰囲気がよく伝わってきたのが印象的でした。現地の状況に合わせて装置の工夫をするところなどです。そういった講義はありそうで意外とないので。また、ほかの先生の講義も合わせてですが、土壌というものにも興味が出てきました。
    Mon, 22 Dec 2003 14:50:32

     A.土壌に興味を持ってもらうことが、駒場でこの授業を開講 している一番の理由ですので、目的を達成できて良かった と思います。

  3.  今回講義を聞いて農学部がのんびりしていて楽しそうな印象を受けました。 フィールド科学は自分で道具を作ったり、穴を掘ったりして体を使うということ がわかり楽しそうで大変興味をもちました。授業をうけてよかったと思います
    Mon, 22 Dec 2003 15:56:14

     A.ありがとう。体を使って得られたデータは格別です。 進学後も頑張って学んで下さい。

  4.  私は「土壌圏の科学」を、オムニバス講義だということで履修を決めた。即 ち、様様な分野の専門的で実践応用的な講義を期待していた。故に、土壌管理を 中心としたこの講義も殆ど知識がなかったため、かなり興味深かった。
     この講義で印象的だったのは今まで常識的だと考えていた事柄をひっくり返す 逆説的な内容が多かったということだ。例えばトラクターの使用が土壌の流亡を 促進してしまうことだとか、外気温がどんなに低下しても地中数十センチから一 メートルの深い箇所では大して地温が下がらないこと(シベリアでも零下数度、 嬬恋なら数度)、更には地中の気泡を顧慮しない従来のメタンフラックスには大 きな誤差がある可能性があるということなどである。
     全くの無知だった季節的凍土の形成や融解を考慮に入れた土壌管理について学 ぶことができて非常に有意義だった。SIMS-CP(!)やITモニタリングなどの最先端 の研究で用いられているハード面についても知ることができた。中には、地下の 水面の深さを測定する方法が実はアナログだったりもして興味を引いた。
     私は正直なところ、今まで土壌に関することを来年以降の研究対象としようと は考えてはいなかったが、それはこの分野に対する知識の蓄積がほぼ皆無だった からであった。土壌を研究対象として捉える時、それまでは「つち」でしかなか った概念が大きく揺らぎ、体系化された一つの学問として私に新たな価値観を付 加してくれた。積雪寒冷農地での土壌管理から地球規模の気候予測といった巨視 的観点までその研究対象を具体的に理解することができた。
     この講義に限ったことではないが、教養学部から農学部へ進学する、換言すれ ばリベラルアーツから専攻へと進む過渡期にあるこの4学期には、今まであまり 視線を送ってこなかった他の農学分野に対しても夫々吟味することが肝要であろ う。
    Mon, 22 Dec 2003 17:12:18

     A.大変格調高いレポートありがとう。
    「リベラルアーツから専攻へと進む過渡期」というとても 重要な指摘を頂き、農学部としてこの点について、もっと 真剣に取り組むよう努力したいと思います。
    研究では現場(実験事実)をありのままに見て、常識を疑 うことから研究は始まります。進学後は、そうした態度で 専門分野を楽しんで下さい。

  5. 土壌浸食が起こる原因というのは、植物根による土の固定作用や、地表を被覆す る有機物層がないことにある(らしい)ので、嬬恋村のような大規模な耕地だ と、土壌流亡はある程度必然的に起こるはずです。なので、土壌流亡を防ぐなら マメ科植物でも植えておけばいいのではと思っていました。 ですが、今回の授業では土の凍結と融解という課程で起こる土壌の流亡があると いうことで、寒冷地の土壌の特色を知ることが出来ました。 近頃、環境税という観念に関心を持っています。その観点から自分なりに思った のですが、耕地において雪を早期に融解させることは、土壌の流亡を防ぐという 点では環境、というか社会に対して有益である一方、地球温暖化という点では雪 による太陽光の反射効果がなくなるために環境に対していくらかの温暖化効果を もたらすように思えます。その辺の計測が出来れば環境税という概念のある社会 だと幾莫かのペナルティが課せられるような気がします。そうでなくても、地球 温暖化を促進することにはなるので、作物のブランドとしてのイメージが下がる のではないかと思います。 なので、自分としては教官が示されたもう一つの方法、凍土層・硬盤層を貫く穴 をあける、という方法が将来的には良いような気がします。もちろん、雪上に黒 炭を撒く方が比べるべくもなく簡便ですが・・・。 乱筆になりましたが、僕はざっとこういう感想を持ちました。それでは、よいク リスマスと年末年始をお過ごしください。失礼いたします。
    Mon, 22 Dec 2003 18:15:33

     A.「環境税」と耕地管理の考察は、とても面白い視点だと思います。 これからもこうした自分なりの視点を大切にして下さい。

  6. 土壌という非常に農業らしいテーマの講義なので、内容も興味深くわかりやすかった です。私は北海道出身なので、なんとなく身近な気がする凍土についての話がとくに 面白いと感じました。凍土を不均一に融解することで土壌浸食を緩和するという発想 も面白いと思いました。こんなふうに研究の成果が世に出ていって役に立つようにな るのを見ると、農学部でこれから専門的なことを勉強していこうという意欲がわいて きてわくわくします。そしてフィールドワークの重要性も感じました。実験室の中で 理想的な実験結果が得られても、フィールドに出てみたらそれ以前の問題があった、 というのは必ずあることだと思います。農学はとくにフィールドワークが大切な分野 だと思うので、実験室だけでなく実際に土や植物、動物に触れながら研究ができるよ うになりたいです。
    Mon, 22 Dec 2003 22:35:09

     A.農学の神髄に気付いてくれたようで講義をした甲斐を 感じます。不均一融雪法もまだ現場での実証試験はこ れからです。お楽しみに。

  7. シベリアでのフィールドワークの話を聞いて「フィールドワークってのも面白そうだ な」 と思ったり、雪の上に黒っぽいものをまけば雪が解けるという単純だけれど思いつく のはなかなか難しそうな融雪法の話に感心したりととても興味深い授業で、また溝口 先生に限らず宮崎先生や妹尾先生の講義もいままで知らなかったことに興味を持た せてくれるもので、土壌圏の科学は僕にとって今学期の”当たり講義”になりまし た。 複数の先生が交代で受け持つ授業でどの先生もこれほど学生を引き込む魅力的な 講義をする授業には今まであたりませんでした。これが果たして先生方が土壌圏の 科学という授業をつくるに当たって「教育」という点に特に力を入れて工夫を重ねた 為なのか、それともただ話し上手な先生方が偶然そろっただけなのかは僕にはわか りませんが、「世界をいろいろな見方でとらえることができるように生徒達の関心を 広 げてやるのが自分の教師としての役目だ」と言っていた高校の先生の話を思い出し ました。楽しい授業をありがとうございました。
    Tue, 23 Dec 2003 07:03:09

     A.「土壌圏の科学は僕にとって今学期の”当たり講義”」という 評価は、教官冥利に尽きます。今年までは、各教官が思い思い に話をしていましたが、実は来月からそれぞれの教官が集まっ て、「環境修復と自然再生のための土壌圏科学研究グループ」 が活動を開始します。その成果は、来年以降の駒場の授業にも 反映される予定です。


  8.  A.


  9.  A.


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Update by mizo (2003.11.4)