土壌物理環境実験 1999年度版
宮崎 毅、溝口 勝、関 勝寿、井本 博美
TA 飯山一平
3年通年1単位
実験の趣旨
土壌は、自然界を作り上げている重要な物質の一つであり、生物と環境を育み、生物と環境に育てられてきたものである。自然土地利用における生物生産を持続的に最適化したり、土壌の荒廃の防止や砂漠の緑化、水質浄化など地球環境の保全を的確に行うためには土壌の物理性や土壌で起きる移動現象の把握が重要である。
本実験では、土壌の物理的な性質に関する基本的な測定法や試験方法について学ぶことを目的とする。実験内容は、土壌をめぐる物質移動において一番重要な土中の水移動のパラメータ(透水係数と水分特性)の測定ならびに土壌の性質を左右する粒径組成の測定を室内実験で行う。また、野外における土壌の調査・観察と現場透水係数の測定法の実習を予定している。
教科書
「土壌物理環境測定法」 中野政詩ら 著 東京大学出版会
(農学部生協で購入できます)
授業時間と場所
毎週木曜日 14:40〜 農学部7号館5階 520室にて
日程 (1999年度)
各実験の詳細は、変更される可能性があります。実験時に、プリントしたものを配布します。
日時 | 内容 | 写真
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11月11日 | ガイダンス (113室) | なし
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11月18日 | 土壌断面調査と土壌サンプリング (p7〜)
2限(土質力学)と3限(土質力学演習)は、休講になります。
集合場所:東京大学附属多摩農場 本館前
(地図)
集合時間:1時
| 準備,
当日
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11月25日 | ダルシーと透水係数
ダルシー式の確認、単一層と成層の土壌の透水係数
| 準備,
当日
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12月2日 | 飽和透水係数の測定 (p98〜)
変水頭法
| 準備
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12月9日 | 土壌の基本要素測定法 (p17〜)
乾燥密度および含水量測定 (p25〜)
粒径分布の測定(その1) (p35〜)
ストークスの法則、比重計定数の決定、粒度試験の準備
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12月16日 | 粒径分布の測定(その2)
比重計法及びフルイ分け
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1月13日 | 不飽和水分移動実験 (p115〜)
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1月20日 | 水分特性曲線測定 (p65〜)
吸引法の準備と測定
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1月27日 | 予備日 (データ整理)
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注意事項
- 器具・薬品等の扱いは慎重かつ安全に
- 実験終了時の整理整頓(雑巾がけ)を忘れずに
- 他人の実験器具や、研究室の備品、器具をいじらないこと
レポートについて
- A4版レポート用紙
- 表紙(日付&タイトル&名前&班の番号)をつける
- 内容
- 実験タイトル
- 実験年月日、時間、天候、共同実験者
- 実験目的
- 実験の原理及び方法(装置等の図)
- 測定値
測定された値そのもの(生データ)を記録する。
教科書にあるデータシート、もしくは実験時に配布するデーターシートに直接データを書き込んだものをコピーするのがのぞましい。また、このページからもデータシートをダウンロード可能である。
- 計算及び結果(表、グラフ)
測定値に対し、何らかの計算をほどこしたもの。
結果を数値で示すときには有効数字に注意し、必ず単位を明記すること。
グラフには必ずタイトル・X軸・Y軸(それぞれにタイトルと単位)を明記すること。
- 考察
- 締切(厳守)
翌週の実験開始時まで
翌週の授業にて提出、もしくは 514 室関まで
データシート
以下のデータシートをダウンロード可能です。随時追加予定です。
PDF ファイルを読むためには、
Acrobat Reader
をダウンロード、インストールしてください。
データシートファイルの一覧
Excel のファイルは当初 Internet Explorer 5 では正常に読み込めましたが
Netscape Navigator 4 では正常に読み込めませんでした。
その原因は、サーバーの設定であることが判明しました。
現在では、Netscape Navigator でも正常にダウンロードできるように
なっています。
サーバーの設定とは、具体的には拡張子 .xls を MIME タイプ登録して
いなかったということを意味しています。
採点について
採点は、出席とレポートにより行います。
参考図書
書名、著者、出版社(閲覧できる場所)
- 土の理工学性測定ガイド 農業土木学会(農図、地水研)
- 土の試験実習書 第2回改訂版、土質工学会編(地水研)
- Methods of soil analysis. アメリカ土壌科学会編(地水研)
- 土壌物理学概論 Hillel著、岩田進午訳 養賢堂(農図、地水研)
- 土壌の物理 八幡敏夫 東大出版会(同上)
- パソコンで学ぶ土の物理学 Cambell著、中野他訳、鹿島出版会(同上)
- Soil Physics 5th edition. Jury他著 Wiley and Sons.(同上)
- Fundamentals of Soil Physics. Hillel著 Academic press(同上)
- Elements of Soil Physics. P.Koorevaar et.al(同上)
参考リンク
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Soil Physics - Environmental Biophysics
Dr. Gaylon Campbell が Washington State University で教えている講義ノート等の資料です。
Teaching の中の
Soil Physics
には、講義(Lectures) と実験(Labs) があります。
Washington State University では、どんな「土壌物理実験」の授業をしているのでしょうか?
この授業と比較してみるのも面白いでしょう。
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環境地水学研究室
この講義を開いている研究室です。「研究」には、過去の論文タイトルがまとめられています。
また、研究室メンバーも各自個性的なホームページを開いていますので、ホームページを見た感想をメールすると喜ぶかもしれません。
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日本土壌科学会 (SSSJ)
溝口助教授の呼びかけにより、数年前にスタートしたメーリングリスト上の学会です。
土壌科学に関する情報交換をメーリングリストによって行っています。
Web 上から、メーリングリスト記事の閲覧や検索もできます。
メールサマリー
の記事を読んでみましょう。
土壌科学の研究者が、どういう議論をしているのかを知ることができます。
連絡先、レポート提出先
関 勝寿 (環境地水学研究室 助手)